セイコーより、1965年に発売された国産初のダイバーズウォッチの復刻モデルが発売される。発売日は2020年6月6日である。このモデルは、腕時計として初めて「エバーブリリアントスチール」をケース素材に用いており、耐食性と審美性が向上されている。タグホイヤー カレラムーブメントは、10振動(3万6000振動/時)のハイビートで駆動する「Cal.8L55」が搭載される。
国産ダイバーズウォッチの始祖を現代の技術で復刻
国産ダイバーズウォッチの原点を最新技術を駆使して復刻した「SBEX009」。オリジナルモデルは、1966年から4回にわたって南極観測隊越冬隊員の装備品として寄贈され、絶大な信頼を得ている。自動巻き(Cal.8L55)。37石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約55時間。SS(直径39.9mm、厚さ 14.7mm)。200m防水。世界限定1100本。65万円(税別)。
1965年、セイコーは国産初のダイバーズウォッチを発売した。150m防水、両方向回転ベゼル、非ねじ込み式リューズと、現代のダイバーズウォッチの基準からは大きく異なるスペックを持つが、当時ダイバーズウォッチといえば高額なスイス製しか選択肢のなかった中、国産ダイバーズウォッチ第1号が開発されたのは、同社にとって大きなマイルストーンであったと言えるだろう。
事実、同社はこのモデルを皮切りに、わずか数年の間に革新的な機構や素材を次々に投入し、今もなお世界中で愛されるセイコーダイバーズウォッチの礎を作っている。その根底に流れる、常に進化を続けるというDNAは今も脈々と生き続け、今回、国産ダイバーズの始祖が現代的なスペックを引っ提げて復活した。
エバーブリリアントスチールが採用されたケースは、高い耐食性を持つ。また、白く美しく輝く審美性も併せ持っており、まさに高級時計にピッタリの素材だと言える。ストラップは、オリジナルに採用されていたファブリック調のラバーストラップにオマージュを捧げた強化シリコン製だ。
そのモデルこそが、「1965メカニカルダイバーズ 復刻デザイン」である。デザインは、ほぼ忠実にオリジナルを踏襲しているが、今回最も注目すべきはケースに使用されている素材であろう。このモデルには、腕時計としては初めて「エバーブリリアントスチール」が採用されている。
この素材は一般的な高級時計に使われているステンレススティールを上回る耐食性と白く輝く審美性を備えた、まさに時計にとって理想的な素材である。装身具に用いることは困難だと言われてきた素材でもあるが、研究を重ね、その困難を克服できたのは同社の技術力と挑戦する姿勢があったからこそだろう。また、カラーリングはブルーグレーを採用し、徐々に光を失っていく深海の世界を表現している。
進化しているのは外装だけではない。搭載されるムーブメントは、10振動のハイビートムーブメント、「Cal.8L55」だ。同社が誇る岩手県の雫石高級時計工房で職人の手によって組み立てられるムーブメントは、高級時計に求められる耐久性と審美性を高い基準でクリアしている。